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交通事故の慰謝料の相場はいくら?計算方法についても詳しく解説【2023年版】

交通事故の被害にあったときに口にされる慰謝料とはどのようなものでしょうか?
慰謝料とは、相手の不法行為によって負った精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。交通事故には、入通院慰謝料後遺障害慰謝料死亡慰謝料の3種類の慰謝料があり、該当する慰謝料が示談金の一部として支払われます。

入通院慰謝料交通事故で怪我を負ったことで被った精神的損害に対する慰謝料です。
後遺障害慰謝料治療終了後に残った後遺症が後遺障害等級に認定された場合に発生する慰謝料です。
死亡慰謝料被害者が交通事故で死亡した場合、被害者本人には死亡慰謝料が発生し、一定の遺族には近親者慰謝料が発生します。

ここでは、それぞれの慰謝料の相場や計算方法についてご紹介しながら、交通事故の慰謝料について全般的に解説します。自分が慰謝料をいくらもらえるか知りたい方は、ぜひ参考にしてもらえたらと思います。

入通院慰謝料はいくらもらえる?

入通院慰謝料がいくらもらえるかにあたっては、まずは慰謝料の算定基準を知っておきましょう。慰謝料の算定基準には、自賠責保険基準任意保険基準裁判基準の3つがあります。それぞれの基準の説明は次の通りです。

  • 自賠責保険基準 ・・・ 法令で定めている基準。
  • 任意保険基準 ・・・ 損害保険会社ごとに定めている基準。
  • 裁判基準 ・・・ 過去の裁判の判例に基づいた基準で、弁護士が採用している基準。弁護士基準とも言われます。

ほとんどのケースにおいて、慰謝料は、自賠責保険基準<任意保険基準<裁判基準の順で、高く算定されます。

自賠責保険基準

自賠責保険基準では、入通院慰謝料は日額4,300円と定められています。

この日額に下のいずれか「少ない方」の日数をかけた金額が自賠責保険基準での入通院慰謝料の金額になります。

  • 治療期間
  • 実入通院日数の2倍

任意保険基準

任意保険基準は、損害保険会社ごとに定めてあり、公開されていません。しかし、かつて全損害保険会社共通の相場表があり、現在も当時の基準を参考に設定されているようです。そのため、当時の相場表が、任意保険基準の入通院慰謝料の目安となります。

過去の任意保険会社の入通院慰謝料 相場表(単位:万円)

ヶ月入院12345678910
通院25.250.478.695.8113.4128.6141.2152.4162.6170.2
112.637.86385.6104.7120.9134.9147.4157.6167.6173.9
225.250.47394.6112.2127.2141.2152.5162.6171.4176.4
337.860.482102118.5133.5146.3157.6166.4173.9178.9
447.869.489.4108.4124.8138.6151.3161.3163.8176.4181.4
556.876.895.8114.6129.9143.6155.1163.8171.4178.9183.9
664.283.2102119.8134.9147.4157.6166.3173.9181.4185.4
770.689.4107.2124.3136.7149.9160.1168.8176.4183.9188.9
876.894.6112.2128.6141.2152.4162.6171.3178.9186.4191.4
98299.6116131.1143.7154.9165.1173.8181.4188.9193.9
1087103.4118.5133.6146.2157.4167.6176.3183.9191.4196.4

現在は任意保険基準の相場表は公表されていません。

裁判基準

裁判基準は、過去の裁判例などに基づいて設定された基準です。自賠責保険基準、任意保険基準と比べて高く算定され、弁護士が算定に用いる基準のため弁護士基準とも呼ばれます。

裁判基準では、怪我の種類によって基準額を分けています。いわゆる「むちうち症で他覚所見がない場合や軽い打撲・挫創・挫傷」の場合に用いる基準と、骨折や靱帯損傷などを想定した「それ以外の怪我」の場合に用いる基準があります。

「むちうち症で他覚所見がない場合や軽い打撲・挫創・挫傷」の慰謝料基準(単位:万円)

ヶ月入院12345678910
通院356692116135152165176186195
1195283106128145160171182190199
2366997118138153166177186194201
35383109128146159172181190196202
46795119136152165176185192197203
579105127142158169180187193198204
689113133148162173182188194199205
797119139152166175183189195200206
8103125143156168176184190196201207
9109129147158169177185191197202208
10113133149159170178186192198203209

「(骨折や靱帯損傷などを想定した)それ以外の怪我」の場合の慰謝料基準(単位:万円)

ヶ月入院12345678910
通院53101145184217244266284297306
12877122162199228252274291303311
25298139177210236260281297308315
373115154188218244267287302312319
490130165196226251273292306316323
5105141173204233257278296310320325
6116149181211239262282300314322327
7124157188217244266286304316324329
8132164194222248270290306318326331
9139170199226252274292308320328333
10145175203230256276294310322330335

むちうちで、3ヶ月通院した場合、慰謝料はいくら?

頚椎捻挫のような他覚所見の無いむちうち症で、3ヶ月通院した場合(実際の通院日数が40日の場合)、各基準で入通院慰謝料を比較すると、次のようになります。

自賠責保険基準344,000円
任意保険基準378,000円(目安となる金額で、保険会社ごとに異なります)
裁判基準530,000円

裁判基準で算定すると、自賠責保険基準と比べて186,000円、任意保険基準と比べて152,000円高くなります。保険会社から提示される慰謝料は、自賠責保険基準または任意保険基準を目安としているため、裁判基準よりも低く算定されているケースがほとんどです。弁護士が示談交渉する場合は、裁判基準をもとに行なっていくことになります。

むちうちで、6ヶ月通院した場合、慰謝料はいくら?

頚椎捻挫のような他覚所見の無いむちうち症で、6ヶ月通院した場合(実際の通院日数が70日の場合)、各基準で入通院慰謝料を比較すると、次のようになります。

自賠責保険基準602,000円
任意保険基準642,000円(目安となる金額で、保険会社ごとに異なります)
裁判基準890,000円

裁判基準で算定すると、自賠責保険基準と比べて288,000円、任意保険基準と比べて248,000円の差があります。自賠責保険基準または任意保険基準を目安として提示される保険会社からの示談案は、裁判基準よりも低い算定となるため、弁護士が示談交渉する場合は、裁判基準をもとに行なっていくことになります。

後遺障害慰謝料はいくらもらえる?

後遺障害の損害賠償を考えるにあたっては、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「裁判基準」という3つの算定基準があることを知っておきましょう。
等級ごとに自賠責保険基準と裁判基準の金額を比較した下の表を見ればわかるように、自賠責保険基準より裁判基準は金額が大きくなります。任意保険基準は各社が独自に定めているものですが、一般的には自賠責保険基準と裁判基準の間の金額です。

別表第一(1級、2級のうち介護を要する後遺障害)の算定基準

等級 自賠責保険基準 裁判基準
1級 1650万円 2800万円
2級 1203万円 2370万円

別表第二(1~14級)の算定基準

等級 自賠責保険基準 裁判基準
1級 1150万円 2800万円
2級 998万円 2370万円
3級 861万円 1990万円
4級 737万円 1670万円
5級 618万円 1400万円
6級 512万円 1400万円
7級 419万円 1000万円
8級 331万円 830万円
9級 249万円 690万円
10級 190万円 550万円
11級 136万円 420万円
12級 94万円 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円

自賠責保険基準は、2020年4月1日以降に発生した事故に適用される基準額

死亡慰謝料はいくらもらえる?

死亡慰謝料の金額を算定するにあたっては、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3つの基準があります。一般的には、自賠責基準が低額な基準であり、裁判基準が高額な基準といえます。これらの基準は、それぞれ使われる場面が異なります。

自賠責保険基準

自賠責基準では、

死亡慰謝料は、被害者本人の慰謝料+遺族の慰謝料=死亡慰謝料

という式で算出されます。

そして、各慰謝料の額は以下のとおり定められています。

被害者本人の慰謝料400万円
遺族の慰謝料①請求権者が1名の場合550万円が加算
②請求権者が2名の場合650万円が加算
③請求権者が3名以上の場合750万円が加算

扶養家族がいる場合:さらに200万円が加算

例えば、夫が亡くなり、遺族が妻と子1人(いずれも扶養家族)の場合、本人分400万円+遺族分の加算650万円+扶養家族分の加算200万円の合計1250万円と計算されます。

任意保険基準

任意保険基準は、任意保険会社内部で用いられる基準であり公表されてはいませんが、一般的には自賠責基準に近い金額であり、裁判基準よりも低額になることが多いといえます。

裁判基準

裁判基準では、死亡慰謝料は以下のとおりとされています。下記金額は、被害者本人の慰謝料と遺族の慰謝料を合わせた総額ですので、自賠責基準のように遺族の人数によって死亡慰謝料が増額することはありません。

①被害者が一家の支柱であった場合2800万円
②被害者が母親・配偶者であった場合2500万円
③その他の場合2000万円〜2500万円

ただし、これらの金額は、あくまでも一応の目安を示したものとされています。実際には、様々な事情から金額が増減され、必ずしも①〜③のとおりの金額とはならないことが多くあります。

慰謝料の請求で損をしないために押さえておきたいポイント

①事故後すぐに治療を受ける

事故後、体に痛みがある場合は、たとえ軽症であっても病院へ通院しましょう。軽症か重症かの判断は専門家以外には難しいため、医師に診てもらうべきです。

また、事故から日が空いてしまうと、相手の保険会社から「その怪我は事故とは無関係の原因で発生したものではないか」と疑念を抱かれる可能性があるので、事故後すぐに通院する必要があります。

②必ず「病院」で治療を受ける

通院先は、整骨院や鍼灸院ではなく「病院」です。多くのケースでは病院の「整形外科」を受診することになるでしょう。

病院を受診せず整骨院などにのみ通っていると、後に慰謝料額が大幅に減額されてしまう可能性があります。整骨院に通う場合であっても、必ず医師の了承をとってから通ってください。

③適切な頻度で治療を受ける

どの程度の通院頻度が適切かは怪我の内容にもよりますが、ここでは最も多い症状である「むちうち」を前提とします。

整骨院などに通う場合であっても、最低でも月1回は必ず病院で受診しましょう。

これに対し、整骨院を含めても、週に2~3日程度の通院にとどめておくのがベターです。

怪我が治るには安静にすること(ある程度の時間が経過すること)が必要であり、毎日通院したからといって症状が改善されるわけではないことがほとんどです。

また、毎日通院しても慰謝料額が大幅に増加するわけではありませんし、それ以上頻度が多くなると、相手の保険会社からの治療費打ち切りの打診が早く来てしまいます。

④安易に治療費の打ち切りに応じない

相手の保険会社から「これ以上治療費は負担しません」という連絡があった時点で症状が完治していれば、治療を終了して問題ありません。

しかし、症状が残っている場合は、治療を終了するかどうか慎重に判断する必要があります。主治医に治療を続けるかどうかについて相談することも大切です。

また、仮に治療を終了する場合であっても、数か月治療しても症状が改善されていないということは、体に後遺障害が残っている可能性があるため、後遺障害の認定手続きを受けるか否かを決める必要があります。

後遺障害の認定を受けるためには、治療費が打ち切られた後も自費で通院を継続した方が良いケースもありますが、自費で通院を継続する必要があるかは医師や弁護士と相談して決めましょう。

慰謝料が増額するケース・減額するケース

<慰謝料が増額するケース>

以下の場合には、「慰謝料増額事由」があるとして、慰謝料が増額される可能性があります。

・加害者側の事情

①加害者に故意または重大な過失がある

加害者が、煽り運転、赤信号無視、飲酒運転、著しい速度違反、居眠り運転などの行為をした場合です。

②加害者の不誠実な態度

加害者がひき逃げや証拠隠滅をしたり、被害者を激しく侮辱したといった場合です。
ただし、単に謝罪や見舞いがないとか、加害者が交渉を保険会社に任せきりにしているという程度では認められず、加害者側に極めて著しい不誠実さがみられる例外的ケースに限って認められる傾向にあります。

・被害者側の事情

被害者側に、慰謝料を増額するのが当然だといえる事情がある場合には、慰謝料増額事由として考慮されることがあります。

たとえば、妊娠中の被害者が事故により流産・中絶したケースや、被害者の親族が重大な精神的ショックにより精神疾患にかかったケースなどがあります。

これに対し、事故の影響で就職先の内定が取り消されたケースや、就職先を退職せざるを得なかったケースでは、事故と内定取り消し・退職の因果関係が争われるなどするため慰謝料増額に繋がらないことも多いといえます。

<慰謝料が減額されるケース>

①適切な治療を受けなかった場合

たとえば、整骨院に毎日通院していても、病院(整形外科)に月1回程度通院していない場合は慰謝料が減額されることがあります。

②被害者にも過失割合がついた場合

事故態様からみて被害者に過失が発生するケースは多数あります。そのような場合、慰謝料を含む損害賠償金が過失割合に応じて減額されることになります。

③被害者に、もともと持っていた持病などがある場合

被害者がもともと持っていた持病などの影響で怪我が大きくなった場合(この持病などのことを「身体的・心因的素因」といいます)、その影響の分だけ慰謝料を含む損害額が減額されることがあります。

慰謝料以外にも受け取れる示談金・損害賠償金の種類

交通事故に遭った場合に受け取ることができるお金(示談金・損害賠償金)は、慰謝料だけではありません。示談金・損害賠償金には以下のような種類があります。

慰謝料

慰謝料とは、相手の不法行為によって負った精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。

交通事故の場合には、通院期間や通院日数をもとに、自賠責保険基準任意保険基準弁護士基準のいずれかの基準に従って慰謝料を算出します。

一般的には、通院期間が長いほど慰謝料は高額となります。

治療費

怪我の治療でかかった費用を請求します。

ただし、事故の相手が保険に加入している場合には、相手の保険会社が通院先の医療機関に直接治療費を支払ってくれることがほとんどなので、実際には被害者が加害者に対して治療費を請求することはあまりないでしょう。 基本的に「治療費」には整骨院などでの「施術代」は含まれないことに注意しましょう。このような「施術代」は、病院の医師から許可・了承をもらっている場合にのみ「治療費」に含めて支払われることがあるにすぎません。そのため、整骨院に通院する場合は必ず医師の了承をもらってください。

保険会社からの「治療費支払い打ち切り」通告に要注意

治療を受けていると、加害者側保険会社から「症状固定」と言われることがあります。

これは、治療費の支払い打ち切りを意味しており、ケガの程度にもよりますが、他覚所見の無いむちうち症の場合は事故から3~6ヶ月を目安に通告してくることが多いです。

ただ、基本的に「症状固定」は医師が判断するものであるため、加害者側保険会社から治療費の支払い打ち切りの通告があったとしても、医師が治療継続の必要を認めていれば、診断書等で証明してもらい、加害者側保険会社に治療費の支払継続を要求することができます。

休業損害

休業損害とは、交通事故による怪我が原因で仕事を休んだために収入が減った場合に認められる損害のことです。

減収があったことを被害者が証拠によって立証しなければなりません。また、被害者が、会社に勤務しているのか、自営業なのか、専業主婦・主夫なのかといった事情によって休業損害の算出方法や必要な証拠が異なります。

休業損害を正確に計算したうえで請求することは難しいので、請求するにあたっては弁護士とよく相談することをお勧めします。

逸失利益

逸失利益とは、交通事故の被害に遭って後遺障害が残ったケースや、被害者が死亡したケースで認められる損害項目であり、後遺障害や死亡という結果がなければ将来的に被害者が得られるはずだった利益のことをいいます。

逸失利益についても計算方法や提出すべき証拠の用意が難しいことが多いため、請求するにあたっては弁護士に相談することをお勧めします。

交通事故慰謝料の増額事例

はじめて交通事故にあった方へ ~知っておきたい8つのポイント~

ホームワンには、初めて交通事故の被害にあわれた方から、今後の不安や心配について多くのご相談が寄せられています。当事務所がお話を伺ってきたなかで、多くの方が心配に感じられていることを、8つのポイントにまとめました。

(1) 治療費の負担はどうなる?
(2) 通院は病院を基本に
(3) 治療中に慰謝料の話は挙がる?
(4) 相手方保険会社の連絡はどれくらいの頻度である?
(5) 「打ち切り」と「症状固定」
(6) 治療費が打ち切られたら…
(7) 弁護士に相談するタイミング
(8) 弁護士費用特約が付いている場合は、いつでもご依頼OK

以下のページで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

交通事故の慰謝料の相場はいくら?計算方法についても詳しく解説【2023年版】 まとめ

  • 交通事故の慰謝料の種類は?
    慰謝料とは、相手の不法行為によって負った精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。交通事故には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類の慰謝料があります。
  • 慰謝料の算定基準とは?
    慰謝料の算定基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判基準の3つがあり、ほとんどのケースにおいて、慰謝料は、自賠責保険基準<任意保険基準<裁判基準の順で、高く算定されます。
  • 慰謝料以外にも受け取れる示談金・損害賠償金にはどんなものがある?
    治療費、休業損害、逸失利益などがあります。
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