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自転車事故の過失割合と慰謝料はどうなる?

自転車事故の過失割合と慰謝料はどうなる?

車と自転車との間で交通事故が起きた場合、自転車側にも過失があるとして慰謝料などが減額されることがあります。ここでは、車と自転車との事故の過失割合について、ケースに分けて説明します。

車と自転車事故の過失割合

車と自転車との事故の場合、自転車側には過失がないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実は自転車側に過失がないとされるケースはほとんどありません。これは、道路交通法では自転車も車と同様に「車両」として扱われるためです。
以下では、比較的事故件数の多い、①交差点での直進車同士の事故、②交差点での右折車と直進車の事故、③横断歩道での事故、④進路変更時の事故の4つのケースに分けて過失割合について説明します。

交差点での直進車同士の事故

十字路交差点では、他方向から直進してきた車と自転車が衝突する事故が発生することがあります。
このような事故については、その十字路交差点が信号のある交差点か信号のない交差点かということや、信号が何色だったか、道路の幅がどの程度だったか、一時停止規制があるか、優先道路であるかなどの要素から、基本的な過失割合が決められます。
以下では場合分けをして説明します。

信号のある交差点の場合

信号のある交差点での事故の場合、信号の色が何色だったかが重要です。下表のように、車が赤信号無視をした場合に車:自転車=100:0となるのは当然ですが、自転車が赤信号無視をした場合は自転車の過失が100にはならないことに注意しましょう。

信号 過失割合(車:自転車)
車側 自転車側
100:0
90:10
70:30
40:60
20:80

信号のない交差点の場合

信号のない 交差点の場合の過失割合(車:自転車)は次のようになります。

道幅

道幅過失割合
同程度の道幅80:20
自転車側が広い道路90:10
車側が広い道路70:30

一般的には広い道路を走行している側の過失が小さいとされますが、自転車事故の場合は車側に重い過失があるとされます。

一時停止規制

規制過失割合
車側に規制あり90:10
自転車側に規制あり60:40

一般的には一時停止義務違反をした側の過失が大きくなり、自転車であっても40%もの過失があるとされます。

優先道路

優先過失割合
自転車側が優先90:10
車側が優先50:50

一般的には優先道路を走行していた側の過失が小さいとされるため、非優先道路を走行していた自転車には50%もの過失があるとされます。

一方通行違反

違反車過失割合
車が違反90:10
自転車が違反50:50

一方通行規制に違反した側の過失が大きくなりますが、一方通行規制の中には自転車を除外しているものも多いので注意が必要です。

交差点での右折車と直進車の事故

件数が多いケースとして、信号のない交差点において、互いに対向車線から交差点に進入した場合と、右折車と交差道路からの直進車が出合い頭で衝突した場合に分けて説明します。

互いに対向車線から交差点に進入した場合

  • 車が右折、自転車が直進=90:10
  • 車が直進、自転車が右折=50:50

一般的には右折車両の過失が大きいとされます。

右折車と交差道路からの直進車が出合い頭で衝突した場合(同程度の道幅の道路)

  • 車が右折、自転車が直進=80:20
  • 車が直進、自転車が右折=70:30

この場合も右折車両の過失は大きいとされますが、それ以上に車には交差点進入時には高度の注意義務があるとされるため、車の過失が大きくなっています。

横断歩道での事故

車が直進で横断歩道に進入した場合と右折で横断歩道に進入した場合の過失割合は、下表のとおり信号の色により変わります。車側の信号が青である場合であっても車側にある程度の過失があることに注意してください。

車が直進で横断歩道に進入した場合

信号 過失割合(車:自転車)
車側 自転車側
100:0
青点滅 90:10
75:25
45:55
25:75

車が右折で横断歩道に進入した場合

信号 過失割合(車:自転車)
車側 自転車側
90:10
40:60

進路変更時の事故

進路変更時の事故の過失割合(車:自転車)は以下のとおりです。

  • 車が進路変更=90:10
  • 自転車が進路変更(前方障害物なし)=80:20
  • 自転車が進路変更(前方障害物あり)=90:10

車が進路変更したケースでは、車の前方に障害物(路上駐車中の他の車など)があるかどうかにかかわらず上記のとおり90:10とされます。
これに対し、自転車が進路変更したケースでは、自転車の前方に障害物があった場合、後続の車からはその障害物を認識することができ、自転車の進路変更を予見することができたはずという理由から、車側に重い過失があるとされます。

自転車の過失割合がゼロになるケース

上記のとおり、自転車の過失がゼロになるケースはほとんどありませんが、例外的に、以下のケースではゼロとなります。

  1. 車が信号無視
  2. 車がセンターラインオーバー
  3. 自転車が交差点に直進進入しようとしたところ、後続の車が自転車を追い越して交差点を左折した場合

(1)(2)は車同士の事故の場合であっても当然被害車両は過失がゼロになるので、自転車であることを理由として過失がゼロになるのは(3)のケースのみといえます。
(3)のケースも、自転車が交差点に直進進入しようとしているのに車が後ろから無理やり追い越して左折するという極めて悪質な運転ですので、自転車の過失がゼロになるのは当然といえます。

過失割合の修正要素

これまで説明してきた過失割合は、「基本過失割合」と呼ばれるものです。
実際に過失割合を決めるにあたっては、この基本過失割合がどの程度かという観点に加えて、修正要素があるかという観点から判断されます。
修正要素としては、次のようなものがあります。

  • 夜間
    自転車を視認し辛いので、車側の過失が減り、自転車側の過失が増えることがあります。
  • 自転車運転者が児童・高齢者
    この場合、車側は特に注意すべきという理由により車側の過失が増えることがあります。
  • 車がウインカーを出さなかった、遅れた
  • 車の速度超過

過失割合で慰謝料が減額されることも

事故当事者に過失がある場合、慰謝料を含む損害額が減額されることになります。
例えば、事故により自転車側が怪我をしたケースで、事故態様が、信号がなく双方同程度の道幅の交差点での直進車両同士の事故だったとします。この事故態様の場合、基本過失割合は上記のとおり車80:自転車20です。
そして、自転車の運転者に慰謝料を含めて100万円の損害が発生しているとします。
この場合、相手には100万円のうち80%の責任しかないため、80%である80万円の請求をすることができるに留まります。このように請求額から自分の過失の分だけ減額されることを過失相殺といいます。

自分に過失がある場合のデメリットは、過失相殺だけではありません。
過失割合が車80:自転車20であるということは、自転車側は80%被害者ですが、20%加害者でもあるということです。
そのため、車側に生じた損害の20%を賠償しなければならないのです。
このことから、事故の過失割合をどのように決めるかは非常に重要といえます。

自転車事故の過失割合と慰謝料はどうなる? まとめ

  • 車と自転車との事故の場合、自転車側には過失がない?
    道路交通法では、自転車も車と同様に「車両」として扱われるため、過失がないとされるケースはほとんどありません。
  • 自転車の過失割合がゼロになるケースは?
    (1)車が信号無視、(2)車がセンターラインオーバー、(3)自転車が交差点に直進進入しようとしたところ、後続の車が自転車を追い越して交差点を左折した場合、等のケースです。
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