交通事故の知識 - 慰謝料について

追突事故に遭った被害者が慰謝料で損をしないために追突された被害者には、原則として過失や責任はありません

追突事故にあった被害者が慰謝料で損をしないために

追突事故の場合、基本的に被害者の過失はありません。相手側から過失があると主張される可能性がありますが、追突された被害者は原則として、過失や責任がないという基本的な姿勢を忘れないでください。

追突事故の傾向

追突事故は、交通事故件数全体の37%を占めていることが、警察庁の事故類型別に関する資料から分かります※1。実際、ホームワンの示談金無料査定サービスにおいては、約半数が追突事故で占められています※2。ホームワンが受任した案件では、「信号待ちでの停車中」の追突事故や「右左折待ちでの停車中」の追突事故が多い傾向にあります。追突事故による怪我についていうと、追突された方(被害者の方)の多くは、総じて頸椎捻挫や腰部挫傷などのいわゆる「むちうち」を受傷していることが分かります。

「平成28年中の交通事故の発生状況」(警察庁交通局)

示談金無料査定サービスにおける追突事故の占める割合は減少傾向にあります。これは自動ブレーキシステムの普及が背景にあると考えられます。

追突事故の過失割合

過失割合0:100のケース

道路に駐停車している自動車への追突事故の場合、基本の過失割合は「0(追突された側):100(追突した側)」で、追突された側は、過失責任を問われません。追突は、追突した側の前方不注意や車間距離不保持などの「一方的な過失」によるものと考えられているため、追突された側は過失責任を問われないのです。たとえば、バイクが自動車に追突した場合でも、過失割合は「0:100」で、追突された自動車側に過失責任は問われません。

過失割合0:100でないケース

追突事故の基本の過失割合は「0(追突された側):100(追突した側)」ですが、追突事故でも「0:100」にならないケースもあるので、注意しましょう。

高速道路の追突事故

高速道路での追突事故では、追突された自動車側も基本の過失割合で「20~50」の過失が問われます。高速道路での追突事故では、駐停車が原則として禁止されているため、たとえば急ブレーキをかけた先行車に後続車が追突した場合は、やむをえない事情がない限り、先行車の運転手も過失責任を負うことになります。

急ブレーキによる追突事故

先行車が不必要な急ブレーキをかけたことで追突事故が発生した場合は、先行車の運転手も基本の過失割合で「30」の過失責任が問われます。

修正要素がある場合

基本の過失割合は「0(追突された側):100(追突した側)」ですが、「修正要素」があります。追突された側が、駐停車禁止場所で追突された場合、追突された側の過失割合の修正要素は「-10」です。この場合、「10:90」となります。しかし、この場合で、追突した側が15km以上の速度違反をしていれば、追突した側の過失割合の修正要素は「+10」です。そのため、「0:100」となります。ただし、修正要素によって過失割合が100を超えることはありませんので、注意しましょう。

修正要素は、次の表をご参考にしてください。

基本割合 追突された側 0 追突した側 100
修正要素 駐停車禁止場所 10
追突された側の駐停車方法不適切 10~20
追突した側の15㎞以上の速度違反 10
追突した側の30㎞以上の速度違反 20

参考:財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 2010』通称「赤い本」

ホームワンで実際に扱った追突事故の事例

事件の内容

被害者が仕事の移動中に赤信号で停車していたところ、加害者が居眠り運転により60km以上の速度で追突したケースです。このとき、加害者はブレーキを踏んでいませんでした。

被害者は、追突の衝撃で首(頸部)を負傷し、病院では「外傷性頸部症候群(いわゆる、むちうち症)」、「胸部出口症候群(腕を上げると上肢の痺れや肩回りに痛みが生じる症状)」を診断されました。その後、仕事を長期間休み、継続的に整形外科へ通院してリハビリと薬による治療を受けていましたが、頸部の痛みと不快感が残りました。

事故から6カ月が経過したことで、医師の判断で治療終了とし、症状固定の診断を受けました。症状固定後も、頸部の痛みと不快感が残りました(これを残存症状といいます)。この残存症状を後遺障害として自賠責損害調査を行なっている損害保険料率算出機構に、後遺障害等級認定の(後遺障害等級を認めてもらう)申請をおこないました。

後遺障害等級認定の審査では、提出した診断書に、残存症状について「症状改善傾向」との記載があったため、自賠責における後遺障害の定義である「将来においても回復が困難な障害」に該当しないと、「非該当」と判断されました。

相談の内容

被害者の方は、交通事故で受けた怪我の治療のため、長期間、仕事を休んでいたことで「休業損害」が発生していて、加害者の保険会社から補償を受けていたものの、その補償額が少ないと納得していませんでした。そのほかにも、保険会社から提示された示談金(傷害慰謝料などが含まれます)の妥当性と増額の余地がないか、後遺障害等級認定の結果が「非該当」であったことについての妥当性についても知りたいと相談を申し込まれました。

ホームワンの対応と結果

後遺障害等級認定については、残存症状について新たな医証(医師による証明)の取得が難しく、異議申立は断念することになりましたが、休業損害と傷害慰謝料で増額の余地があったため、当事務所で受任(依頼を受ける)となりました。

依頼を受けて弁護士が加害者の保険会社と交渉したところ、休業損害については、保険会社が主張した日数よりも長い期間を認めさせることができました。

その結果、休業損害は約50万円増額しました。さらに、傷害慰謝料についても、裁判基準に基づいて約25万円増額しました。あわせて、約75万円の増額で示談成立となりました。

ちなみに、被害者の方は、弁護士費用特約に加入していたため、増額した約75万円の30%に相当する額が弁護士費用が保険会社から支払われたため、弁護士費用が差し引かれずに、示談金の全額を受け取ることができました。