後遺障害等級認定を申請する手続きの、おおまかな流れは以下の図のようになります。治療を続けてもこれ以上症状が改善しない状態(症状固定)になり、医師に「後遺障害診断書」を書いてもらうところからスタートします。
- 治療が終わり「症状固定」になる
- 医師に「後遺障害診断書」を書いてもらう
- 保険会社に「後遺障害診断書」等の書類を提出する
- 提出した書類をもとに、損害保険料率算出機構の調査が行われる
- 保険会社から、認定結果が通知される
- 結果に不満がある場合、異議申し立てをする
※症状固定について詳しくはこちら
※後遺障害診断書について詳しくはこちら
後遺障害等級認定の申請方法
等級認定の申請方法には、事前認定と被害者請求があり、どちらにもメリットとデメリットがあります。
事前認定
事前認定は、加害者側の任意保険会社を経由して自賠責保険会社に後遺障害認定の申請をする方法です。病院で作成してもらった後遺障害診断書を加害者側の任意保険会社に提出することで、申請手続きをすべて任せられます。認定結果は、自賠責保険会社から加害者側の任意保険会社を経由して被害者に通知されます。
事前認定の流れ
- ① 医師に「後遺障害診断書」を書いてもらう。
- ② 加害者の任意保険会社に、「後遺障害診断書」を提出する。
- ③ 任意保険会社が、その他の必要書類を収集する。
- ④ 任意保険会社が、自賠責保険会社に必要書類一式を提出する。
- ⑤ 自賠責保険会社が、損害保険料率算出機構に調査を依頼する。
- ⑥ 自賠責保険会社に調査結果が報告される。
- ⑦ 調査結果を元に自賠責保険会社が等級認定し、任意保険会社に通知する。
- ⑧ 任意保険会社より、被害者に認定結果が通知される。
事前認定のメリット
- 必要書類の収集など申請手続きを加害者側の任意保険会社が行うため、手間がかからない
事前認定のデメリット
- 自賠責保険会社に提出する書類の取捨選択ができない。
- 提出資料を把握することが難しく、手続の透明性を確保することができない。
被害者請求
被害者請求とは、被害者が自分で後遺障害等級認定の申請手続きや自賠責保険金の請求を行う方法をいいます。被害者請求で後遺障害等級認定の申請をする場合も、症状固定後に医師に後遺障害診断書を作成してもらいます。後遺障害診断書を含む必要書類は、被害者が用意して直接加害者側の自賠責保険会社に提出します。自賠責保険会社は自損害保険料率算出機構に調査を依頼し、その認定結果は自賠責保険会社から直接被害者に通知されます。
被害者請求の流れ
- ① 医師に「後遺障害診断書」を書いてもらう等して、被害者が必要書類一式を収集する。
- ② 加害者の自賠責保険会社に、必要書類一式を提出する。
- ③ 自賠責保険会社が、損害保険料率算出機構に調査を依頼
- ④ 自賠責保険会社に調査結果が報告される。
- ⑤ 調査結果を元に自賠責保険会社が等級認定(支払額を決定)し、被害者に通知(支払)される。
被害者請求に必要な書類
- 交通事故証明書
- 支払請求書兼支払指図書(実印を押します)
- 事故発生状況報告書
- 印鑑証明書
- 診断書と診療報酬明細書
- 後遺障害診断書
- 検査記録(画像記録)
など
診断書と診療報酬明細書は加害者の任意保険会社から取り寄せすることができます。また、検査記録(画像記録)は、受診した医療機関の窓口で請求可能です。ただし、通常、画像記録の入手には費用がかかります。その金額は病院によって異なるため、詳しくは受診した医療機関にご確認ください。また、上記の資料以外にも、医療機関からカルテ等を取り寄せ、被害者請求の際に利用することもあります。カルテについても、受診した医療機関の窓口で請求可能です。
※後遺障害診断書について詳しくはこちら
被害者請求のメリット
- 自分に有利な医証などが提出できる
- 自分の主張などをまとめた文書を作成して提出できる
- 後遺障害が認定されると、等級に対応する自賠責保険金が先行して支払われる
- 提出資料を把握することができ、手続の透明性を一定程度確保することができる
被害者請求のデメリット
- 必要書類の収集など申請手続きを自分で行う必要があるので、手間がかかる
認定結果に納得がいかない場合
後遺障害等級認定の申請をおこなっても必ずしも等級が認定されるとは限りません。該当する等級がない時は「非該当」の認定になります。認定結果に満足できない場合は、異議申立てで再度の審査を受けることができます。なお、異議申立ては何度でも行うことが出来ます。
※異議申し立てについて詳しくはこちら
後遺障害の申請方法についてのご相談は弁護士へ
後遺障害等級認定の申請を行う場合、事前認定と被害者請求のどちらで申請するか悩まれると思います。また、一度申請したものの非該当だった場合、異議申立てをするべきか迷うこともあります。交通事故被害で適正な賠償を得るためには、後遺障害が認定されるかどうかはとても大きな問題となります。後遺障害の問題をどのように進めていくか、専門家である弁護士と今後の方針を相談されてみてはいかがでしょうか?
少しでも疑問に思うことがあったら、お気軽に弁護士にご相談ください。
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