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交通事故で鎖骨骨折をした場合の後遺障害等級と慰謝料はどうなる?

交通事故に遭った場合、シートベルトをしていても肩付近を車内にぶつけることはよくあることであり、鎖骨骨折の怪我を負うこともあります。鎖骨骨折は、後遺障害が残る可能性もある怪我です。ここでは、鎖骨骨折の場合に認められる可能性がある後遺障害等級と慰謝料の金額、後遺障害認定を受けるために押さえておくべきポイントについて解説します。

鎖骨骨折の症状と治療の流れ

症状

鎖骨

鎖骨を骨折すると、骨折部に痛みや腫れが発生し、腕を動かしたり上げることが困難になります。鎖骨骨折により神経が圧迫されている場合には、腕だけでなく手や指にしびれが発生したり動かしづらくなることもあります。また、鎖骨が動いて不安定になることもあります。

治療

・診断

基本的にはレントゲン検査によって鎖骨を骨折しているかどうかが判別できます。場合によってはCT検査MRI検査で詳しく確認する必要がある場合もあります。

・保存療法

鎖骨骨折の場合は保存療法が原則で、医師による骨折部の整復(骨折してずれた骨をもとの位置に戻すこと)を行ないます。
その後、鎖骨バンドギプスなどで骨折部を固定し、安静にすることで治療します。

・手術療法

骨折端が皮膚を突き上げているなど骨のずれが激しい場合、腕神経叢圧迫症状が出ている場合、多発骨折しており管理上骨折の安定性を得たい場合などでは、手術によってプレートやワイヤーを体内に入れて骨折部を固定する方法をとることもあります。

鎖骨骨折で認められる可能性がある後遺障害等級

鎖骨骨折で認められる可能性がある後遺障害等級は次のようなものです。

神経症状

治療を行なったにもかかわらず、痛みやしびれといった神経症状が残ってしまったケースです。

等級基準
14級9号局部に神経症状を残すもの
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号か12級13号かは、神経症状の原因がレントゲン検査などの画像によって判明するか否かにより分かれます。画像検査の結果から、原因が明らかになる場合には、より重い等級である12級13号が認定されます。

機能障害

骨折した鎖骨側の肩関節の可動域が狭くなるといった症状が残ったケースです。

等級基準
12級6号1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
10級10号1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
8級6号1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

肩関節の可動域がどのくらいの角度であれば機能障害として認定されるかについては、数値による明確な基準があります。
ただし、この基準をクリアしていても、画像検査の結果などから、その症状の原因が判明していなければ機能障害は認定されません。

変形障害

骨折した部分が固まらない場合や、通常とは異なる形で固まったケースです。

等級基準
12級5号鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの

鎖骨に「著しい変形を残す」かどうかは、裸体になったときに外部から見て変形が明らかにわかるものかどうかによって判断されます。
注意が必要なのは、仮にレントゲン検査などの画像検査によって変形が確認できる場合であっても、裸体を肉眼で見たときに変形が確認できなければ12級5号は認定されないという点です。
そのため、この点についてはレントゲン検査などの結果だけでなく、裸体になった状態の鎖骨部の写真を撮るなどの方法によって証拠を確保しておくことが重要です。

鎖骨骨折による後遺障害が認定された場合の慰謝料

鎖骨骨折による後遺障害が認定された場合、各等級によって次のような慰謝料が発生します。慰謝料の金額は自賠責基準弁護士基準とで異なります。

自賠責基準弁護士基準
14級32万円110万円
12級94万円290万円
10級190万円550万円
8級331万円830万円

この表のとおり、弁護士基準は自賠責基準よりも高額となります。また、後遺障害が認定された場合、慰謝料だけでなく逸失利益も請求できることがあるので、さらに高額になる可能性があります。

しかし、交通事故の被害者が、自らが加入している保険会社または自分自身で相手の保険会社と交渉すると、相手の保険会社は、自賠責基準に基づいて慰謝料額を提示してくることが多いため、弁護士基準に比べて低額になります。

これに対し、交渉を弁護士に任せれば、弁護士基準での金額を請求していきます。高い後遺障害等級が認定された場合ほど両基準の差額は大きくなっていくので、弁護士に依頼することをお勧めします。

後遺障害等級認定を受けるために押さえておきたいポイント

後遺障害等級は、簡単に認定してもらえるものではありません。現実に症状が残存しているケースであっても、弁護士のアドバイスなしに治療を進めた結果、後遺障害認定を受けられないということは頻繁にあります。後遺障害等級認定を受けるため、以下のポイントを押さえておきましょう。

①できる限り早急に病院へ通院する

事故後に身体の痛みがある場合には、できれば事故当日、遅くとも事故翌日には病院へ通院しましょう。整骨院や整体では後に適切な賠償が受けられない可能性があるので、必ず病院つまり整形外科に通院してください。

②最低でも月1回は通院する

後遺障害を認定してもらうためには、ある程度頻繁に通院していることが重要です。通院頻度は医師の指示にもよるのでやや難しいですが、目安としては最低でも月に1回は通院すべきです。通院した際は、どこが痛いかといった症状を正確に医師に伝えましょう。

③必要な検査をしてもらう

鎖骨骨折に関係する後遺障害の認定のために最も必要なのはレントゲン、CT、MRIといった画像所見です。また、肩関節の可動域の測定も重要です。画像検査と可動域測定検査については、事故直後から行なってもらうことはもちろんですが、治療の経過を見るためにも、通院途中でも行なってもらうべきです。

以上が押さえておくべきポイントです。しかし、これらはあくまで一般的なものです。具体的なアドバイスについてはその都度弁護士に求めることをお勧めします。

鎖骨骨折の解決事例

交通事故で鎖骨骨折をした場合の後遺障害等級と慰謝料はどうなる? まとめ

  • 鎖骨骨折で認められる可能性がある後遺障害等級は?
    神経症状では14級9号、12級13号が、機能障害では12級6号、10級10号、8級6号が、変形障害では12級5号が認定される可能性があります。
  • 鎖骨骨折で後遺障害が認定された場合の慰謝料は?
    後遺障害が認定された場合の、後遺障害慰謝料(弁護士基準)は、8級で830万円、10級で550万円、12級で290万円、14級で110万円です。慰謝料だけでなく逸失利益も請求できることがあるので、さらに高額になる可能性があります。
  • 後遺障害等級認定を受けるためのポイントは?
    認定してもらうため、(1)できる限り早急に病院へ通院する、(2)最低でも月1回は通院する、(3)必要な検査をしてもらう、等のポイントを押さえておきましょう。
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