交通事故の被害にあった場合、ご自身で交渉することは難しいので、弁護士に依頼することをお勧めします。もっとも、適切な賠償額を得るためには弁護士選びが大切です。ここでは、どのような弁護士を選ぶべきかについて紹介します。
弁護士を選ぶときのポイント
交通事故の被害にあった場合、弁護士を選ぶときのポイントとして、以下の4点が挙げられます。
- 交通事故に詳しい弁護士か?
- どれくらい解決実績があるか?
- 相談したときに、信頼できるか?
- 弁護士費用を適切に設定しているか?
これらのポイントについては、法律事務所のホームページの記載が充実しているかや、実際に依頼された方の満足度などから判断するとよいでしょう。
交通事故に詳しい弁護士か?
まず交通事故に詳しい弁護士であるということは最も大切です。交通事故は、誰もが体験する可能性のある比較的身近な問題でありながら、極めて難しい法的問題を含む分野でもあります。
また、交通事故分野では、保険会社や病院と関わることも多いため、法的知識だけではなく、保険関係の知識や医学的知識を必要とする場面も非常に多くなります。 そのため、交通事故の問題に詳しいという点は最も重視すべきといえるでしょう。
どれくらい解決実績があるか?
交通事故に詳しい弁護士であるかどうかを見極めるにあたっては、交通事故分野でどれくらいの解決実績があるかが重要になります。
例えば、不貞慰謝料請求も損害賠償請求であるという点においては同じですが、交通事故分野においては法的知識だけでなく保険や医学の知識も必要になります。
また、交渉にあたっては、単なる知識だけではなく相場感やノウハウといった経験でしか得られないものが当然の前提として要求されるため、交通事故分野の経験がないと適切な交渉ができない可能性があります。
そのため、他の分野ではなく交通事故という分野における解決実績がどの程度かに着目しましょう。
また、慰謝料をどの程度増額できたかや、ご自身のケースと似たケースの解決実績があるかなど、解決内容も重要になります。
相談したときに信頼できるか?
実際に弁護士に相談した際の印象も重要です。知識や経験に基づき、交通事故分野に関する適切なアドバイスをしてくれるか、ご自身の症状を細かく聞き取って共感したりして親身になってくれるか(残念ながら、症状がむちうちのみである場合などには態度が冷たい弁護士もいるようです)、自賠責や任意保険、入通院慰謝料や後遺障害逸失利益などの難しい法的概念を分かりやすく説明してくれるかといった点を確認するとよいでしょう。
弁護士費用が適切に設定されているか?
弁護士費用が適切に設定されているかという点も重要です。相談料や着手金が無料であったとしても、報酬金が不適切に高額である場合もあるようです。
弁護士に依頼した場合の増額分よりも弁護士費用が高額になる場合には、いわゆる費用倒れになるため、依頼するメリットがありません。そのため、実際に依頼した場合にどの程度増額する見込みがあるのかを示してくれるかが重要です。
また、弁護士費用について適切に説明してくれるかも重要です。弁護士費用をいくら払うのかは、多くの方が不安に感じる点だと思いますので、この点について詳しく説明してくれるかも確認しましょう。
弁護士を選ぶときの注意点
ここでは、
- 保険会社から弁護士を紹介されたとき
- 司法書士に依頼したいとき
- 別の弁護士に変えたいとき
にどのような点に注意すべきかについて紹介します。
保険会社から弁護士を紹介される?
弁護士費用特約を利用する場合、保険会社から弁護士を紹介されるケースがあります。この場合、日頃から交通事故を多く扱っている弁護士が紹介されることが多いのですが、中には交通事故分野を機械的に処理しようとするあまり、依頼者に親身になってくれない弁護士もいるようです。
そのため、保険会社から紹介されたから安心と考えるのではなく、上で述べたポイントをきちんとご自身で確認することが重要です。
弁護士ではなく司法書士に依頼できる?
司法書士の方が費用が安いなどの理由から、司法書士に依頼することを考える方もいらっしゃいます。
しかし、示談交渉の資格があるのは、国によって認定を受けた認定司法書士のみです。また、認定司法書士であっても、140万円を超える事件では示談交渉や裁判をすることができません。一方で、弁護士は、示談交渉や裁判をする範囲に何の限定もありません。
さらに、交通事故分野は、法的知識を持つ弁護士の中でもさらに交通事故分野に精通した弁護士でなければ適切に対応できない分野でもあるため、交通事故分野で実績のある弁護士に依頼されることをお勧めします。
弁護士を変えるとお金がかかる?
弁護士に依頼した後で、その弁護士とは合わないと判断した場合、その弁護士との契約を終わらせることで、別の弁護士に変えることができます。
この場合、2人の弁護士に着手金などの費用を支払わなければならない可能性があり、費用の面で難しいと感じる方も多いでしょう。
そのため、別の弁護士に変える場合には、その弁護士に費用面をよく相談し、例えば着手金を無くして成功報酬のみとするなどの工夫をしてもらえるか確認しましょう。
依頼するまでの3つのステップ
弁護士に実際に依頼しようと考えた場合、以下の3つのステップを踏むことになります。
- インターネットなどで相談する弁護士を探す
- 弁護士に相談する
- 弁護士に依頼して、委任契約を結ぶ
ステップ(1)では、上で述べたポイントに着目してホームページの記載を確認するとよいでしょう。
ステップ(2)については、弁護士費用特約が使えない場合であっても交通事故分野に限っては無料相談をしている弁護士もいます。また、弁護士に相談する際には、後遺障害が認められる可能性はあるか、過失割合で相手と揉めているけれども勝てる可能性はあるか、休業損害を請求できるか、など弁護士に実現してもらいたい内容について相談すべきです。
信頼できる弁護士であればステップ(3)へ進みましょう。
費用倒れすることも
弁護士に依頼した場合に増額した分(増額分)よりも弁護士費用が高額になる場合を費用倒れといいます。弁護士選びを間違うと、このような費用倒れが発生する可能性のある弁護士費用を設定している弁護士に依頼してしまい、実際に費用倒れになる可能性があります。
そのためには増額分がどの程度になる見込みかを依頼前に把握する必要がありますが、保険会社から示談金額を提示される前のタイミングで弁護士に依頼すると、増額分がいくらなのか把握できません。
そのため、弁護士に依頼するタイミングが今でいいのか、増額分の見込み額が事前にわかるかなどについて相談の際に確認すべきです。
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