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交通事故の賠償にかかわる4つの保険

自賠責保険、任意保険、労災保険、健康保険について、わかりやすくまとめました。
交通事故の賠償にかかわる4つの保険

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)

自動車保険は、大きく「自賠責保険」と「任意保険」の2つに分けることができます。
自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき、自動車や原動機付自転車を使用する場合に加入を義務付けられている強制保険のことをいいます。保障対象は対人賠償のみであり、対物賠償は対象となっていません。

自賠責保険の保険金額は政令で定められています。
2012(平成14)年4月1日以降の事故については、死亡が3000万円、後遺障害は等級に応じて75万円から4000万円まで一定の金額が支払われます。傷害についての保険金額は120万円までの範囲で、実際に発生した損害額に応じて支払われます。
保障額がこれで足りない場合、任意保険で補うことになります。

自賠責保険の請求手続き

自賠責保険の保険金は加害者の損害賠償の支出を保障するものですから、加害者から請求するのが一般的です(加害者請求といいます)。しかし、自賠責保険は被害者の保護のためにあるため、被害者側からの請求も認められています(被害者請求といいます)。

また、被害者が事故によって困窮しないように、示談が成立する前であっても、当面必要なお金を確保するための制度として仮渡金(注)があります。

(注)仮渡金

加害者の賠償額が確定しない段階であっても、賠償額の一部を仮渡金として加害者が加入する自賠責保険会社に請求することができます。

仮渡金は、保険金支払の一部前渡しにあたりますから、後日保険会社が支払う保険金は、保険金の決定額から既に支払った仮払金を控除した残額を支払うことになります。

任意保険

任意保険は、自賠責保険とは異なり、加入が強制されていません。また、自賠責保険の保障対象が対人賠償のみであるのに対し、任意保険ではその契約内容により、対物賠償をはじめ、多様な保障を取り扱っています。

対人賠償保険は、自賠責保険と任意保険の二本立てとなっており、人身事故を起こし相手の損害を賠償する責任を負う場合、自賠責保険ではカバーされない範囲を任意保険が補います。

任意保険による保障内容には、次のようなものがあります。

賠償保険対人賠償保険と対物賠償保険があります。
車両保険自分の車に破損が生じた時に支払われます。
人身傷害保険運転者や同乗者が事故によって死亡した、後遺障害、またはケガを負った場合に保険金額の範囲内で、保険約款に定める基準・計算方法に基づいて計算された損害額が支払われます。
搭乗者傷害保険運転者や同乗者が事故によって死亡した、後遺障害、またはケガを負った場合にあらかじめ定められた額が支払われます。
自損事故保険単独事故等のように自賠責保険で保障されない事故で、運転者、搭乗者またはお車の保有者が死傷された場合に定額の保険金が支払われます。
無保険車傷害保険自動車保険に入っていない、または、保険に入っているものの補償内容が不十分な自動車との事故によって死亡または後遺障害を被った場合に、加害者が負担すべき損害賠償額のうち、自賠責保険等の保険金額を超える部分に対して保険金が支払われます。

任意保険の請求手続き

任意保険による保険金の請求は、本来、被保険者(加害者)が任意保険会社に対して行いますが、被害者保護の観点から、被害者が任意保険会社に対し保険金額の枠内で直接請求することも可能です(直接請求)。

任意保険による保険金の支払いは、自賠責保険分も一括して被害者に支払う一括払い制度があります。
また、傷害事故に関し治療費等の当面の既に発生している損害に関し、治療継続中や示談未成立のように全体としての保険金の支払が可能となる前であっても一定額の保険金の支払いを受けられる場合があります(内払制度(注))。

(注)内払制度

あくまでも保険会社がサービスとして行っている制度なので、保険会社に対して内払するように強制することはできません。内払制度が利用できない場合で被害者の生活が困窮しているような場合は、別途仮払い仮処分を検討する必要があるでしょう。

労災保険

交通事故が業務災害か通勤災害に該当し、労災保険の給付を希望する場合、労働基準監督署長に第三者行為災害届を提出するなどして労災給付金を受け取ることができます。
労災保険と自賠責保険を併用すること自体は可能ですが、二重の利益を受けることはできません。どちらかを先に受け取った場合、もう片方の方からは、受け取った内容・項目が同じ範囲で、受け取った金額が控除されることが一般的です。

健康保険

健康保険法や国民健康保険法において、交通事故の治療費を健康保険から給付することを除外しておりません。そのため、たとえ交通事故を原因として怪我を負った場合であっても、健康保険を利用して治療を受けることを希望する場合、健康保険機関に第三者の行為による疾病届を提出することによって、給付を受けることができます。

政府保障事業制度 ~ひき逃げなどの場合~

ひき逃げなどで加害車両の保有者が不明の場合などは、この制度による補償を受けることができます。
請求は、全国の損害保険各社、農協等の窓口で受け付けています。

  • ひき逃げで自動車の保有者が不明のとき
  • 自賠責保険に加入していない自動車での事故
  • 加害車両の自賠責保険の期限が切れているときの事故
  • 泥棒運転などで自動車の保有者の責任が全くない時の事故
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