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文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/554回テーマ 「死亡逸失利益と生活控除率」編 2019年11月22日

代表の中原です。

今週の『くにまるジャパン極』では、交通事故にあって亡くなられた被害者の遺族が、事故の相手方に対して請求できる死亡逸失利益と生活控除率のお話をしました。

「死亡逸失利益」とは、亡くなられた方が、事故に遭わず生き続けていたとしたら、本来得られるはずだった収入(利益)のことです。生きていれば、これだけの収入が得られたはずだから、と相手方に請求したいところですが、他方で、もし生き続けていれば、当然、食事をしたり日用品を購入したりして、それなりの生活費がかかります。そのため、死亡逸失利益を計算する場合は、そうしたお金を差し引く必要があります。計算方法は、具体的な証拠に基づいて個別に計算するか、統計上の数値を使うかなどが考えられますが、現在の実務では、被害者の性別や家族内での立場などに応じ、収入額に対する一定の割合を生活費とみなすことにしています。これを「生活費控除率」といいます。

裁判所の考え方をまとめた「赤い本」によれば、被害者が一家の柱でない場合、たとえば典型的なのは独身者ですが、女性は30%、男性は50%とされています。これは理由があって、逸失利益を算定するときの基礎収入額が、男性の方が高くなる傾向にあるので、控除率を低くすることで、逸失利益の男女間格差の是正をめざしていると考えられます。

一方で、一家の大黒柱の場合は扶養する人数で変わります。扶養する人が1人だと40%、2人以上の場合には30%となっています。生活費控除における生活費は、家族全体のものではなく、あくまで被害者個人の生活費を想定していますが、一家を構えるとなると、独身の時より、自分自身の生活費を抑える傾向にあることを考慮し、独身男性の控除率50%から、10%ないし20%減らして取り扱う事になっています。これにより、一家の大黒柱を失った奥さんやお子さん達の、将来の生活保障にも役立つということになります。

またライフスタイルに合わせた修正もあります。たとえば独身男性の控除率は本来50%、でも老齢の親に仕送りや医療費、介護費などを負担している場合は、もっと低い控除率が適用されることもあります。実際、同居する母親の介護について中心的役割を果たしていた男性が亡くなったケースで、生活費控除率が40%とされたものがありました。逆に控除率が高くなる場合もあります。たとえば年金生活者は、現役世代の方よりも、収入に対する生活費の割合が高いケースが多いため、通常よりも大きい割合で計算されることもあります。ただ個々の事情に応じて、逆に一般より下げる事案もあります。

死亡逸失利益はケースにより数億円にもなる場合があるので、生活費控除率が10%でも変われば、金額が大きく違ってきます。このあたりは、法律的に難しいところもありますので、ぜひ豊富な経験をもつホームワンにもつ弁護士にご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇554回テーマ
 「死亡逸失利益の生活費控除率」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士

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